納品調律にお伺いしました。
こちらはカワイのUS-80というモデルで当時の
最高級機種のピアノです。
とても元気の良いお子さんで、弟君がレッスンをされています。
調律後にお話をしている最中に分かったのでが、
私の息子と同じ幼稚園に通っているということで
去年同じクラスだったそうです。調律中は興味があるようで
携帯のカメラでしきりと写真を撮っていました。
奥様も弾かれる方でしたので、ショールームにお越しの際は
色々弾き比べてこのピアノをお選びいただきました。
始めはヤマハをご希望されていたのですが、「このUS-80は
とてもよく鳴るので弾いてみてください」とお勧めすると
一発で気に入っていただけました。
昔からヤマハを使っていたのでやっぱりヤマハと思われて
いる方も多いですが、一度その概念を取り払って色々な
メーカーのピアノも触ってみると思わぬ発見が
あるかもしれませんよ。比べないのはもったいないです!
特にこのピアノの場合、一つ他には無い特徴があります。
この写真を見てすぐに気づく方はよっぽどのマニアの方
かもしれませんが・・・。
ちょっと拡大して。
お分かりになりましたでしょうか?
この部部に注目です!
こんなところに余分な弦が2本張ってあります。
この弦を叩くハンマーもなければ、鍵盤もありません。
ただ余分な弦が2本張ってあるのです。
これは所謂「アリコート」と呼ばれる弦です。
まぁ、色々な表現・方式があるのですが、ベーゼンドルファーの
インペリアルと同じ方式でしょうか。
インペリアルの場合は9本もの弦が張られていますが、
さすがにアップライトではそのスペースも無いので
このピアノの場合2本だけですが張ってあります。
弦を叩くハンマーも鍵盤も無いのに何のために存在する
のかといいますと、簡単に言うと右のペダル(ダンパーペダル)を
踏んだ時の響きを良くするために張られています。
右のペダルを踏むとダンパーが全ての弦から離れる為に
叩いていない弦まで振動やら倍音で鳴ってくれます。
それが豊かな響きとなって感じられるのです。
この様にアップライトピアノでアリコートの弦が張られている
のは滅多に無いですので希少です。
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これらの弦を調律するにはチッピングといって弦を弾いて
調律をします。鳴らすハンマーも鍵盤もありませんからね。
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実はこのアリコートのことは納品調律の際に初めて
お客様に説明しました。ということは、お客様は
この様な特別な仕様がなされているから
購入された訳では無く、感覚だけでこのピアノの
音の良さに惹かれご購入いただいたということです。
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本来この様な買い方をされるのが理想ですね。
なかなか難しいというのも十分に分かってはいますが・・・。
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